次は、南境地区にある石巻総合運動公園にて行われた大きなお祭り。
このあたりは東北で一番仮設住宅が多いところで、約1500世帯、
約5000人が住んでおられるとのこと。
いつもは南境地区で3カ所に分けて行う祭りだが、
仮設住宅の方々も楽しんでもらおうと、
合同で慰霊祭と盆踊りが併催される初の大きなお祭り。
まずは法要が営まれ、慰霊のためにお坊さんがお経をあげる。
最初は遠慮から遠巻きに見ていたが、どうしても手を合わせたくなり近くへと行き、
多くの方々と一緒にご焼香をさせていただく。
ここにおられる方の家族、もしくは友達、
お知り合いの方が地震と津波によって命を失ったのだろう。
沈痛な面持ちの方、子どもをあやしながらまっすぐ前を見つめる方、
携帯で話す方、人を探している方、孫のかわいい浴衣姿に目を細める方。
見た目は通常と同じになってきているんだと感じた。
それぞれが、今を、とにかく生きている。
生きている意味を自分に問う方も多くおられただろう、
でも、その記憶を持ったまま生きるという一本道を
ちゃんと歩いておられるのかもしれない。
やぐら前のステージで石川さゆりさんの「復興音頭」を聞きながら
ハッピを着た女性の踊りや、太鼓、民謡を見る。
太鼓では勇壮でスピード感ある太鼓のリズムに幼い姉弟がかわいく踊り、
観客の笑い声が響く。
民謡では、おばあちゃんが一緒に口ずさんでいたり、間の手をみんなで入れたりと、
民謡文化が根ざしていることを感じる。
時間は押し気味だったが、このお祭りを楽しむみなさんの笑顔は何にも代え難く、
私たちも一緒になって手拍子をして楽しませていただいた。
いよいよ出番。
本日3回目の公演となる。
セットリストはこちら。
1.Welfar〜ふれあって つながって 輪になって〜
2.Like a Dragon
3.Thanks to the World
【ライブの様子はUSTREAM動画にてご覧いただけます】
※音声割れてます。雰囲気だけ感じて頂ければ幸いです。
盆踊り隊でもあり、このお祭りの主催者でもあるNPO石巻ネットワークの女性のみなさんが、
最初から前のほうに座り私たちを盛り上げてくださる。
浴衣を来た女性がロックンロールのようにダンスをして下さったり、
赤い浴衣を着た女の子も一人で手拍子をしてくれたり、
曲が進むにつれ次第に若者達も増え、最後には本当に多くの方々が、
踊り、こぶしを突き上げ、叫び、跳ね、大きな盛り上がりをみせてくださった。
最初は「わざわざ福井から」というお気持ちから参加くださったのかなあ、
と思ったけれど、
「辛いこともあったけど今日はお祭り」
「楽しいことがあるってすばらしい」
「自分たちは、強い」
そんな思いもあるのかも知れないと感じる。
盆踊りで盛り上がる中、撤収をして各関係者にご挨拶をさせていただいたが、
みなさん座っておられたところをすぐに立ち上がって、
素晴らしい笑顔で私たちをねぎらってくださった。
また胸が熱くなる。 汗だくで機材車に乗り込み、ホテルへと向かう。
通常、ホテルの夕食は夜9時までと決まっているが、
どうしても9時を過ぎると伝えるとお給仕さんと板前さんが遅くまで残ってくださると、
なんとも有り難い決断を下してくださった華夕美さん。
車から下りて、鞄を持ったまま急ぎ足で夕食の会場へ向かうと、
いつもの笑顔で「今用意しますからね〜」と温かく迎えてくださる。
忙しそうにしたり、口数が減ったりすることなく、
あくまでも私たちを通常通りに迎えてくださるそのおもてなしに感動。
そして美味しいお料理にもまた感動。
デザートまで運んで来てくださり「このお皿、初めて使うのよ」と教えてくださったり
「これ、内緒だからね」と追加のミニデザートまでサービス!
頼んだお酒も快く出してくださるし、「明日の朝食準備するから、
すこしバタつきますけどごめんなさいね、ゆっくりしてくださいね」と
徹底したサービス精神。
疲れた体に、美味しい海の幸、
そしてお給仕さんの人柄感じる優しい言葉にたくさんのサービス。
ここで働いておられる方も、みんなあの地震と津波を経験されている方なのだ。
誰もいない温泉に浸かっていると、みるみるうちに満点の星空が見えてきて、
天の川や流れ星も見ることができた。
こんなにうれしいご褒美がもらえるなんて、この地に来て本当によかった。
そして、がんばってよかった。
サポートしてくださったみなさん、歌を聞いてくださったみなさん、
私たちを運んでくれた機材車、
晴れ渡ってくれた空、美しい緑をたたえた山、
涼をくれた風、何度も休ませてくれた縁石、
カーディガンに登ってきた小さなアリさん、
揺れることなくどっしりとしていてくれた大地。
すべて、すべて、存在してくれているすべてに心の底から感謝を捧げた。
東北応援ライブツアー2日目
〜第4弾 女川オレンジハウス〜に続く