いつもありがとうございます。
応援ツアー6日目、朝食のときくまちゃんが 「今朝お風呂入ったら、
おじいちゃんが『お背中流しましょう』って言うから、
お互いに流しあいっこしたよ〜」 という話をはじめました。
80歳くらいのおじいさんで、お腹には大きな手術跡があったそうです。
宮城県出身で、息子さんとそのお嫁さんが津波で流されて亡くなってしまったそうで、
それはそれはふさぎ込み、自分も死んでしまいたい、早くぼけてしまいたい、
そう思う毎日だったそうです。
死ぬ前に、お世話になった人々にお礼だけ伝えようと、
そのおじいちゃんは歩いてお世話になった方々の元へ行き、
お礼を伝える旅に出ます。
お礼を言うと、逆に「こちらこそありがとう」と言ってくれて、
そのお礼の応酬に僅かながらもう少し生きてみようという気力が湧いたそうです。
そして今もまだ巡礼の途中ですが、こうして旅の途中で出会った人に話しかけ、
自分のできることをすると「ありがとう」と言ってもらえる、
それが今のおじいちゃんの生きる喜びに繋がっていると話してくれたそうです。
家族で朝食中だったのでなんとか涙をこらえましたが、
感謝が生きる原動力になっているこのおじいちゃんが、どうか、どうか、
人生の最後までそのままのおじいちゃんでいてくださいますように、
と祈る気持ちでいっぱいになりました。
苦しみや辛さを言葉にして、自分の中から追い出すことはとても大切な作業だと思います。
ただ、それが行き過ぎて、恨み言になってしまったり、
取り返しのつかない言葉を誰かにぶつけたりすると、それは後悔になってしまいます。
おじいちゃんは、そこを乗り越えて感謝の気持ちまで
たどり着いてこられたのかもしれないと思いました。
<ホテルから伊里前福幸商店街へ>
今日は宮城県気仙沼市にあります、みのりの園(その)がライブ会場となります。
本来は別の場所にあるのですが、地震津波の影響でただいま改修中、
ということでこの山の中にある社会福祉協議会さんを借りておられるそうです。
宿から一度伊里前福幸商店街に立寄り、
観光協会さんや商店街のみなさんに昨日おまつりで
お世話になったお礼を伝えにいったのですが、
その前に 「しろうお、いるかな〜♪」 なんて言いながら、
福幸商店街から100メートルくらいのところにある
川&海に向かって歩いて行ってみました。
すると、白い大きなテントの中で胴長を着てなにやら作業をしている方が。
聞くところによりますと、牡蠣の養殖をされているということで
(テントは流された実家のあった場所に建てたそうです)、
今はホタテの貝殻にうまく付いてくれた赤ちゃん牡蠣が大きくなりやすいよう、
ホタテの貝殻同士の感覚をあけてあげる作業をされているとのことでした。
あのホタテの貝殻1枚に、牡蠣がいくつ育つと思います??
なんと、20匹ぐらいだそうです!!!
そんなに〜〜??
すご〜い!
私は知りませんでした〜。
しかも、南三陸の牡蠣は生食用として全国に発送されるのですが、
衛生的に処理(殻を剥いたり洗ったりする)できる浄化センターが
津波で流されたままのため、十分に育ってはいるものの出荷はできないとのこと。。。
加熱用の牡蠣を養殖している石巻市は既に出荷も始まっているらしいのですが、
南三陸はまだ数ヶ月後でないと出荷できず、
育った牡蠣を「管理」するしかないのだそうです。
また、伊里前の町が8メートルを超える高さのコンクリート堤防を
作るかどうかで議論が紛糾しているらしく、海の生き物はどうなるのか
(しろうおも絶滅危惧II類)、自然こそが命ではないのか、という意見と、
人の命を守りたいという意見とがあり、今は議論を重ねているところだそうです。
その牡蠣養殖をしている親子の息子さんはまだお若いのですが、
未来に対して自分自身の意見をしっかり持っており、
それを見ず知らずの私たちにもまっすぐな瞳で語ってくれるところが、
「海を自然のままで守りたい」という熱意がとても伝わって来るものでした。
コンクリートではなく、昔ながらの石垣などで堤防ができたらいいのかなあ、
ともチラリと思いましたが今はとにかく話し合いを重ね、
良い方向に折り合いがつくといいなと思います。
伊里前福幸商店街のみなさんにご挨拶をし、
商店街の中でお土産も買いました!
このお店の右側の女性は、3年生と5年生のお子さんがおり、
昨日のくまちゃん人形劇を見れなかったことをたいそう悔しがっていたそうです。
1,2年生対象だったためですが、またいつか見てもらえるといいなと思います♪
<伊里前福幸商店街から気仙沼市へ>
南三陸町の伊里前福幸商店街を出発、北上し、
車で20分ほど走った所にあります、「鮨処 えんどう」さんにて昼食をとりました。
車窓からの風景は穏やかな里山、という雰囲気でしたが、
津波はここまで押し寄せたそうです。
川をつたって水が来てあふれ、いくつかは家が浸水し、
また何人かの方もお亡くなりになったと地元の方が教えてくださいました。。。
そんなことを教えていただきながら、
これからライブを控えた私たちはしっかり腹ごしらえをする必要があります。
「亡くなった」という話を聞きながらも、私たちはご飯をいただく。
この生死にあるギャップは、この応援ツアーが始まって毎食感じることです。。。
ただ、生きている以上は「美味しい、美味しい!」と言いながらご飯を食べて、
元気を出して、いつだってベストを尽くせる準備をしておくことが重要だとも思うのです。
砂を噛むようにしてご飯を食べても、気力が充実しませんものね。
このお店は、震災後も営業を続けられ、
南三陸の人達はこのお店にもずいぶんと助けられたそうです。
そんなお店での昼食ですが、ここも「キラキラうに丼」がありました!!
<みのりの園さんにてライブ!>
ばっちりエネルギーを充填して、
今回のライブ会場「みのりの園」さんに到着しました。
ここは知的障がい者と言われる方々が、ジーンズの糸切りや、
テーマパークなどで使われる紙吹雪を作るなどして働いておられる施設です。
ここでボランティアで働いておられた方が、去年の伊里前福幸商店街での一途ライブを見て、
「是非ここの利用者さんたちにも聞いてもらいたい」 とお招き下さったというご縁です。
本当に有り難いことです!
まずは、鯖江市長よりお預かりしてきた親書を施設長にお渡ししました。
くまちゃんの自己紹介の時、 一人の男の子がアピールして来てくれたのですが、
職員さんによれば、その子も普段「くまちゃん」と呼ばれているとのこと!
どんちゃんに 「新しい方のくまちゃんと、古い方のくまちゃん(一途の方)だね♪」
と呼ばれて、古いくまちゃんはガビーンの表情でしたが、
新しいくまちゃんはとっても嬉しそうでしたっ♪♪
今回のセットリストはこちらです。
1.ここに居る〜地球讃歌〜(一途)
2.手のひらを太陽に
3.ぞうさん
4.とんぼのめがね
5.ふるさと
6.団地音頭(一途)
7.春の小川
8.たんぽぽの花が咲くように(一途)
9.アンパンマンのマーチ
10.すばる(男性利用者さん3人で熱唱!)
11.なごり雪(女性利用者さんMさん熱唱!)
12.涙そうそう(女性利用者さんMちゃん熱唱!)
13.川の流れのように(女性利用者さん3人で熱唱!)
14.君といつまでも(男性利用者M君熱唱!セリフつき!)
15.氷雨(I先生&M君デュエットにて熱唱!)
16.兄弟舟(男性利用者さん2人で熱唱!)
17.100%勇気(男性利用者さん2人で熱唱!)
セットリストをご覧いただくとおわかりの通り、
前半はみなさんと一緒に歌ったり踊ったり♪
後半はバックバンドとして腕をふるいました〜!
写真をご覧いただくと、
みなさんがどれだけエンジョイしてくださったかも伝わるかと思います♪
たくさんの人が、前に出て来て歌ってくれましたよ〜♪
職員さんがおっしゃっていたのですが、前に出て歌ってくれた子の中には、
「大きい音はイヤ」 と言って、
への字口の表情で部屋を出たり入ったりしていた子もいました。
しかし、次第に心がほぐれて来たのか、笑顔を見せてくれ、話かけてくれ、
ピアノを習っていたことも教えてくれ、歌いたいと立候補もしれくれ、
甥っ子の話もしてくれ、よく通る良い声で歌ってもくれ、
最後には 「だいっき(大好き)!」 と何度も私たちに言ってくれました・・・!
私たちも、Mちゃんのこと、大好きだよ〜〜!!!!
撤収を始めると、「ギターを見たい」という子が来てくれて、どんちゃんが
「いいよいいよ、せっかくだから持ってごらんよ」 と肩にかけてあげると、
嬉しそうに弾いてくれました!
あとで聞いたのですが、クマちゃんはギターが大好きで持ってもいたのですが
津波で流されてしまったそうです。
みんなも順番こ♪
職員さんたちも 「デイサービスもあるんですが、そのみんなにも聞かせたかったです!」
「遠くから来てくださって、みんなにこんなにいい経験をさせてもらえて、
本当に嬉しいです」 などなど、みなさん笑顔でおっしゃってくださいました!
福祉施設に行くと感じるのですが、職員さんは、
利用者さんの笑顔を見るのが大好きなんですよね。
仕事では真面目に指導をし、社会に役立つよう時には厳しくする時もあると思いますが、
どんなことがあっても、喜んでくれたり笑ってくれたりする瞬間に、
自身の喜びを感じるからこの仕事を続けておられるのだろうなあと思います。
撤収終わりとみなさんの帰る時間帯が同じだったので、記念撮影〜♪
そしてお見送り♪
角を曲がるまで、ずっと手を振ってくれました!
見えなくなった瞬間に思ったことは 「もう会いたくなっちゃった」 でした・・・。
また3ヶ月後の8月に第3弾応援ツアーを予定しているので、
その時にまた会えるといいなと思います♪
<さらに北上、陸前高田を通って大船渡へ>
私たちも職員さんや利用者さんに別れを告げ、
翌日の会場となります大船渡へと約1時間ほど車を走らせました。
一本松もある陸前高田を通ったのですが、
ここもすべてを流された状態で、
何台ものショベルカーやダンプが動き回っていました。
陸前高田市の被害と最近の現状については、
NHK「おはよう日本」でも放送されています。
NHKおはよう日本「生活再建はいま〜岩手県陸前高田市〜」2013年3月6日放送
このあたりはずっとリアス式海岸ということで、緑濃い山を越えると、
津波の被害大きい浜辺に出て、またすぐに山道に入り、しばらくすると、
また更地になっている海辺に入る、という感じで大船渡へと到着しました。
本当に、更地なのです。 2年2ヶ月経った今も。
もちろん、復興に向けての様々なご尽力はありますし、
何台もの重機を見ては心の中で応援させていただくばかりなのですが、
しかし、あの津波からこれだけ時間が経っても一番の被害者の方々が、
未だ楽とは言えない生活を強いられているのだと思うと、
自然の破壊力の凄まじさにはただ絶句するばかりです。
<大船渡屋台村>
この日の夜は、友人から教えていただいた「大船渡屋台村」へ、
宿から歩いて行きました。
「喜楽」というお店がいいよ、と教えてもらっていたのですが、
ドアを開けて 「鯖江から来たのですが・・・」 と言うと、
「え〜〜〜〜!!鯖江から〜〜〜〜っっ??」 と、
美人女将さんに大歓迎いただきました!
実は、鯖江市は大船渡市に何度か支援をさせていただいています。
そのきっかけとなったことは、平成23年3月13日から3月31日まで、
鯖江市職員の給水支援隊として派遣したことから始まります。
そこから何度か救援物資を送付したり、市民からの義援金を直接お渡ししたり、
鯖江市内の子ども達のメッセージ付きノートを贈呈したり、
お餅つきをして配布したりと、何度か交流をさせていただいています。
おかみさんは、それはそれは親身になってくださり、
私たちが家族で東北応援ツアーをしていること、
くまちゃんが人形劇をしていて南三陸にある伊里前小学校でもとても
盛り上がったことなどを話すと、 「あら!うちの孫が通っている
保育園でもしてもらえるかしら??じゃあ、明日話してみるから、
OKもらえたら連絡するね!」 と積極的に私たちの活動を応援してくださいました!!
有り難いことです〜!><
お店に居あわせたとある組合長さん
(19支店あるうち、12支店が流されてしまったそうです)と、
とある会社の社長さん(仮設にお住まいだそうです)ともいろいろお話をさせていただき、
お仕事の現状などを伺うことができました。
しかしこのお二人の発する言葉がとても元気が良く、
半ば不思議に思いつつ聞いてみると
「あのね、強い言葉を自分から発さないと、元気って出ないんだよ。
でもたまにはね、『はぁ・・・』ってため息つくときもあるけどね。
こうやって時々飲みに来て、気分を変えたりもするんだよ〜」
と教えて下さいました。
帰り道、私たちに親子はみな健康で生きるていられることに感謝しつつ、
もっと人の役に立つためにも、もっと足場を固め、もっと柔軟に生きて行こうぜ!
と決意を新たにしながら、街灯のない町を歩いて帰りました。
(ちなみに、ばーばはどんちゃんの手をつかみ、くまちゃんはじーじの肩を組み、
私がこの写真を撮りました。なんともこそばゆい風景です〜)
応援ツアー7日目:大船渡保育園(人形劇)、養護盲老人ホーム祥風苑に続きます。